きよしこの夜 109番
有名なこの曲が生まれたのは、ある年のクリスマス・イヴのことでした。オーストリアの小さな村の教会で、オルガンが壊れてしまったため、教会のヨゼフ・モールが作った歌詞に、教会のオルガニストのフランツ・グルーバーが急きょ曲を作り、演奏することができないオルガンの代わりに、ギターで伴奏したというのです。1年後に、あるオルガン修理職人がこの教会を訪れた際、モールとグルーバーの作った「きよしこの夜」を耳にしました。彼はこの曲をたいそう気に入り、楽譜のコピーを持ち帰りました。その後、なぜか作詞作曲者名は伝わらないまま、曲だけが人づてに広まっていき、クリスマスの民謡として多くの人に愛される曲となったのです。
さらに数10年の年月がたったころ、やはりクリスマスの時期にこの曲を耳にした人がいました。彼の名はアントン・フリーズと言い、音楽出版の仕事をしていました。すぐに、これは素晴らしい曲だと感じ、聞いたままを楽譜に書き写して出版したのです。これが世界中で知られるきっかけとなりました。作詞のグルーバーも貧しい家の出で、教会の近くの町で小学校の音楽教師をしてささやかに暮らしていたといいます。シンプルなメロディーと、イエス・キリストが誕生した情景をおだやかに描写した歌詞は、誰の心にも残る名曲としてクリスチャンのみならず、多くの人に愛され続けています。
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