日本では最初で最後になると言われた「ミレー三大名画展」が開かれていました。「晩鐘」と名付けられているアンジェラスの鐘の絵(2人の農夫が広い畑の中で夕暮れの鐘の音を聞きながら立っている姿)を見ていると、神様に感謝の祈りをささげる信仰が伝わってきます。
今ではお金で買えないほどのフランスの国の宝になっているミレーの絵も、当時は誰も買ってくれる人がいなかったそうです。友人たちも「君の絵は田舎くさくて誰もほしがらないだろう。もっと金持ちの人が買いたくなるような絵を描いたらどうだ」と言ったり、ナポレオンなどは「つまらん、この絵をひっこめろ。汚い恰好をした百姓の絵は見ておれん。」と叫んだそうです。
しかし彼は、自然の中で働く人々の中に神様が住んでいることを感じて、次々とあの有名な「種をまく人」「落穂ひろい」「羊を連れて帰る羊飼い」などを描き続けました。
彼は小さい時、信仰深いおばあさんと牧師のおじいさんにかわいがられ、聖書を暗唱しながら育ちました。青年になって絵の勉強のためにパリに行くと、おばあさんは神様の教えに背いて暮らしている町の人々の中にお前を送りたくないと言ったそうです。ミレーはきっと、この清らかなおばあさんの信仰を受け継いだのですね。
Comments are closed.